そんなつもりじゃなかったのに犯罪者になりかけた話(旧cakes連載記事)

犯罪者というとなんか怖いですが、罪に大小がないという考えのもとでは私は本当にやばい(まずい)経験をしてしまいました。

しかもつい先日・・・。

私は久しぶりに「街」に出ました。

銀行に用事があったためです。

コロナ禍でもあり、猛暑でもあり、出来るだけ街に出ないようにしている今日この頃ですので、久しぶりに「出て来た」感はありました。

なので、ちょっとワクワクするような浮かれた気分で「街歩き」をしていました。

大きなユニクロの店舗ビルがあり、エアリズムマスクの写真がデカデカと入り口に飾られていて、「お一人様10点まで」と書いてありました。

あ、コレって発売初日にめっちゃ行列出来てたやつやん、もう普通に買えるようになったんや、と、もやはマスクコレクターになってしまっている感のある私は、ひとつどんなんか見に行ってみようかな、と、検温と手指消毒を終えて入店しました。

マスクの置いてある階に向かい、売り場に行ってみても人だかりなどはなく、拍子抜けした私は、じゃあとりあえず一つだけ、と、3枚990円のマスクのパッケージを手に取り、レジへ向かおうと前を見ると長蛇の列が!

店員さんに、

「あれ、マスクの行列ですか?」

と聞くと、

「いえ、あれは本日発売の米津玄師さんとコラボしたTシャツの列です。」

と言われたので、みんな並ぶん好きなやなぁ、と思いつつ、

「あ、そうなんですね、じゃあ別の階でお会計してもいいですか?」

と聞いてみると、

「勿論です。では、お客様、こちらをお使い下さい。」

と、店内用バックを渡されました。

「あ、ありがとうございます。」

と、私はそれを自分の持って来たエコバックの横に肩掛けして、

(じゃあ、せっかくやからちょっと他のもんも見ようかな。)

と、WOMENのフロアーへ。

ヨガに使えそうなインナータンクトップ(ブラトップ)を見つけ、買おうかな、どうしよっかなー、こっちは良さそうだけどこっちは持ってるかなぁ、でもセールで安くなってるし、買っとこうかなー、でもやっぱ、ブラトップばっかりどんだけあんねん!ってヒートテックみたいになるからやめとこっかなー、などと思いつつ2種類選んで、店内用バックの中へ入れました。

ユニクロの回し者ではありません

そのフロアーのレジは全部セルフだったため、店内用バックの中の商品を指定された場所へ入れました。

そこにはブラトップ1点とマスクが。

あれ、ブラトップもう一つ入れたような気がしてたけど、あれは迷った末にやめたんやったっけ、と、あまり気にせず、レジを済ませようとすると、2点入っているはずの商品がどうしても1点しか読み取れず・・・結局隣にスタンバイしている店員さんに助けを求めることに・・・。

すると私の選んだ商品はMサイズのハンガーにかかっているけど実際の表記はSサイズでしかもタグなしだったため、読み取れなかったとのこと。(マネキンが着ていたやつかも)

「ただ今Mサイズをお持ちしますね。」

ということでしばらく待っていましたが、戻って来た店員さんは

「すみません、今Mサイズは売り切れでした。」

とおっしゃったので、

「あー、じゃあいいです。ありがとうございました。」

と、結局私はまた必要かどうかわからない(多分必要ない)マスクのみを購入して帰りました。

とにかく暑い中のマスク電車移動なので、家に辿り着いた頃には意識も朦朧としている状態・・・お水を飲んでしばらく休んでから、今日持って行ったエコバックの中を確認すると、購入したマスクと一緒に、ハンガーにかかったブラトップが一枚出てきました・・・・・・!?

しばらく状況が飲み込めず、

「ん?なにこれ?なんで?」

と心の声が漏れていました。

そう、私は万引きをしてしまっていたのです。

勿論わざとではなく、エコバックと店内バックを同じ肩にかけていたため、ひとつは店内バックに入れたものの、もう一つの商品を間違えて自分のエコバックに入れてしまっていたのです!!!


なぜエコバッグと店内用バッグを同じ肩に掛けてしまったのだろうか・・・

「やってもーたー!最悪―!」

と頭を抱える私。

万引きしてるやん、私、堂々と!

やばい、返しに行かなくては・・・でも暑い(言うてる場合か)・・・しんどい(マスクの影響で今期2度も軽い熱中症になっている私)・・・今日じゃないとあかんかな・・・あんなにレジで店員さんと会話してたのに・・・とりあえず電話して事情を説明するべきかな・・・いや、電話して後日ってなったら名前とか言わなあかんくなるから(珍しい名前で夫の顔思い浮かばれても嫌やし)やっぱり持って行ったほうがええな・・・でも暑い・・・もう一回外に出るん嫌やな・・・なんで出口でピー!とか鳴れへんかったんやろ・・・こういうの、このままにする人もいるんちゃうかな・・・あかんあかん!それは絶対にあかん!・・・防犯カメラに写ってて、顔がすでにブラックリストに登録されてたらどうしよう・・・などなど、いろんな考えが頭の中をグルグルぐるぐる巡りました。

結局一人でこの思いを抱え切れなくなった私は姉にラインをし、更に電話をかけたら、スマホからは

「あははは、なにやってんの!」

と爆笑が聞こえて来ました。

出た!なんでも笑いにもっていく関西人気質。

更に遠くから義理の兄の声で、

「こういうことから、主婦の万引きが始まるんやなぁ。」

という冷やかしの声が・・・。

(わー、よりによって車の中やん!ブルートゥースでお義兄さんにまで聞かれてたやん!恥ずかしい。)

なんやかんや話した結果、やっぱり今日持っていくのが一番良いということになり、その頃には私の気持ちも静まり、外も少し涼しくなって来たようなので、息子に、

「もう一度行って謝ってきます。暑いけど・・・。」

と告げると、無言でゲームをしながら一部始終聞いていた彼は、

「悪いことしたんだから仕方ないよ。」

と、綺麗な標準語で冷静なひと言・・・。カチン!

「わかってるけど、わざとじゃないもん!」

と、子供のように言い放って再びユニクロへ向かいました。

イメージ写真(携帯扇風機を手放せない夏でした)

電車の中や道中、頭の中で(怒られるかなぁ)と色々シミュレーションをしている間に到着し、ちょっと緊張しながら、すいている有人レジに向かいました。

が、あっという間に私の後ろに2人程行列が出来てしまい、いややな、聞かれるかな、と思いながら、呼ばれたレジへ。

「あのー、すみません、これ、今日マスクを買った時に店内用バックと間違えて自分のエコバックに入れてしまっていたので、持ってきました。」

と、なぜかマスクのレシートを見せる私に、若い女性店員さんは、

「あ、そうだったんですねー。わかりましたー。こちらは大丈夫ですよー。」

と、マスクのレシートを優しく私の方へ戻し、ハンガー付きのブラトップを受け取って、

「あのー、払いますんで・・・。」

と、お財布を出す私に

「あ、こちら結構ですよー。わざわざありがとうございましたー。」

と、お礼まで言ってくださったのです。

「・・・あ・・・すみません。」

と、消え入るような声で返事をしてすごすごと立ち去る私。

何事もなかったように、テキパキと疑惑のブラトップを片付けて、

「お次の方ー、こちらへどうぞー。」

とにこやかに気持ちを切り替えてい接客業に徹する店員さん・・・。

素晴らしい・・・ユニクロの社員教育!

あんなに逡巡していた私、ものすごいショボいやん。

ネット調べによると、ユニクロは各店舗毎月10万円くらいの万引き被害があるそうで、出口で未払い商品に反応するセンサーに対応しているタグがついているのは、高額商品のみだそうです。

・・・だからあんな感じで「慣れた対応」、更には万引き未遂犯の私にお礼まで言ってくださったのですね・・・。

「2度とすまい!」と誓った私でした。

いやだから、わざとじゃないけどね。

袋に何か入れるときはしっかり確認してから入れよう、という意味です・・・。