SNSが怖い(旧cakes連載記事)

SNSとは、
と調べると、「social networking serviceの略で、人と人との交流を手助け、促進するためのインターネット上のサービス」と出て来ます。

Facebook、Twitter、Instagramなど、その種類は様々です。

最近では国民的スーパーアイドル「嵐」も、このツールの利用を開始し、大きな話題となりました。

私は、モデル業を29年間やっていますが、SNSは一切やっておりません。

「が」と言ったのは、今ではモデルさんはほぼSNSをやっていて、むしろやっていない方が珍しい、みたいな時代になって来ているからです。

モデルでなくても、タレントさんは勿論、一般主婦の方々まで、日々ご自分の情報を世の中に発信していらっしゃるようです。

「ようです」と言ったのは、私は自分がSNSをやっていないのみならず、人様のを「見る」事もほぼないからです。

「ほぼ」と言ったのは、たまーに、テレビ出演などモデル以外のお仕事をさせていただく機会があり、その際に、共演する方々の年齢やお仕事について、芸能界に疎い私は、失礼のない程度に知っておいた方が良いと考えて、お名前を検索する機会があるからです。

でもその時のなんとも言えない後ろめたいようなモヤッとした気持ち。
これから会う人のお名前を検索ワードに入れる時、なんだか自分がとても「はしたない」事をしているように感じてしまいます。

何故でしょうか?

それはきっと、ひとたびクリックしようものならその方が超有名人であろうがなかろうが、驚くほどたくさんの情報が一気に目に飛び込んで来るからです。

私が知りたかったのはせいぜい年齢とこれまでのお仕事内容、もう少し踏み込んで既婚かどうか、お子様がいらっしゃるかどうかくらいなのに、

「え?この人過去にこんなことがあったの?」やら

「そんな疑惑があるのか」やら

「一般的にはこんな評判なのか」などなど、そこまでは知らなくて良い、むしろ知りたくなかった情報までもがどんどん出て来てしまうのです。

その人は私に(というか、誰にも)これを知られたくないのではないだろうか・・・勝手に覗き見してしまってごめんなさい、というような気持ちになります。

一般的にはこれから会う人の名前を事前にネット検索したりはしないと思うので(する人もいらっしゃるかも知れませんが)、私の場合はレアケースと言えるかも知れません。

そしてその情報量を目の当たりにした時には、芸能人、有名人というのは大変だなぁと思わざるを得ません。

何故なら、ネット上の情報には少なからず「嘘」が混ざっているのに、活字になっている時点であたかもそれが真実のようになってしまっているからです。(今更私がいう事でも無いとは思いますが)

私はふと、私くらいの人間(名もなきモデル、旦那が役者)でも、この人どんな人なんだろうと、共演予定の方が検索されているかも知れないと、普段夫に「ろくなことがないから」と禁じられている

「エゴサーチ」(自分の名前を入力して調べる事)をしてみました。
もう半年くらい前のことです。

自分を自分で調べるなんておかしな話ですよね。

正確には「自分がネット上ではどのように書かれているのか」を調べるという事になります。

でもなんかそんな事「趣味が悪い」ようにも思えて薄目でサラーッと見ていきました。

するとやはり、ありましたねー、嘘情報がたくさん!

私がモデルを始めたのは18歳からで、雑誌は「CanCam」からでしたが、全くやっていなかったティーン誌の名前が出ていたり、主人とお付き合いを始めたのは24歳で結婚する3年前くらいからで、最初は私が大阪で「劇団☆新感線」の公演にダンサーとして出演させていただいた事がきっかけで知り合ったのに、私がめちゃめちゃファンでずっと追っかけをしていて10代の頃にゲットした!事になっていたり(怖いわ!そんな女子高生)・・・一番ひいたのは、至って健康な息子が2年前に「突然死」している事になっていた事です。

やっぱり主人の言った通り、見なきゃよかった。「エゴサーチ」なんて2度としないと心に決めました。

誰がどこからそんな嘘情報をわざわざ活字にしてネットにあげてるんやろか。

そもそも私の事なんて書き込んでもたいして誰も見ないだろうし、息子のネガティヴ嘘情報まで載っていた事には愕然とし、もしかして18年間飼っていたビーグル犬が死んだことが巡り巡ってこんな感じになったんかなあ。しかしどう巡り巡ったら、犬が人間になるんやろか。しかも犬もずっと健康で長生きして大往生してんけどなあ・・・。

嘘ばっかりやん!びっくりするわ!!(相変わらず興奮すると関西弁になる私)

でもこの事をひとつひとつ訂正する場がないし、これを見た人は「ネット情報なんで」とか言いながらも、まあまあ信じるんやろうな。

ん?という事は次回お会いするからと、私が見たタレントさん達の情報もどこまでがほんまのことかわからへんと言うことやな。

やっぱりそれも見なきゃよかった。
と、なります。

よくテレビで

「私(僕)、エゴサーチ、めっちゃするんですけどー」。

と言っている方がいますが、単純に「強いな」と思います。

「嘘」どころか「どこの誰ともわからない人」からの「悪口」まで受け止める強靭なハートの持ち主でなければ、「エゴサーチ、めっちゃ楽しい!」とはならないと思います。

それとも私が「弱すぎる」のでしょうか。

でももしかしたらそう言う人達は、SNSを上手に利用していて、あまりに事実と違う情報が拡散していたら、「違いますよー!」と発信するツールがあるから、落ち着いてそれらを「確認」できるのかも知れません。

それこそがSNSを始める意味なのかなあ。

いやいや、見たことないからあくまでイメージですが、 SNSと言えば、

「今日はこんな美味しいお食事をいただきましたー。」だの

「今日はこんな素敵なお洋服を買いましたー。」だの

「今日はこんな楽しい時間を過ごしましたー。」と、

良く言えば「私の楽しい日常をお知らせして、幸せのお裾分けが出来たら嬉しい」とか、タレントさんなら、「ファンが知りたがっている私の日常をほんの少しお見せします」という事、嫌な風に言えば「自慢したいから、褒められたいから、見て欲しい」がモチベーションになっているように思います。

どちらにしろ悪くないし、やりたい人がやればいいし、見たい人が見ればいいものだから、私にはまあ関係ない事、と距離を保って来ましたが、流石にこのご時世、

「そろそろ、陽子さんもインスタぐらい始めてもいいんじゃないですか?」

と、マネージャーさんから言われたりして・・・。

その度、

「確かにねー。時代的ねー。2020年から始めようかなとも思っているけど、まだそれもちょっと考え中でー。」

などど誤魔化し続けていると、

「無理しなくていいですよ。」

と、サラッと諦められます。

インスタ「ぐらい」って言うけど、自分の日常を世界中に公開するなんて、私にとっては「大変な事」よ!
この連載を始めるにあたってもきちんと「考えて」から、だし、やるからにはきちんと本音、本当の事を書こうと毎回パソコンに向き合っているし、例えばインスタで自分がアップしたい「素敵な日常」っぽい事のみを上げていったりしたら、「上辺だけのお付き合いでうまくやってます」、という「微妙なママ友との付き合い方」みたいになってしまうのではないだろうか、そんなの見せられて楽しい人なんているのかな・・・などと思い悩む事自体が、「古い」のかなあ・・・とこの原稿を書きながらふとテレビを観ると、たまたま私の大好きなマツコさんの番組で、YouTuberを取り上げていました。

その番組は、一般カップルや夫婦が自分達のラブラブで幸せな日常をYouTubeで配信していて、それが凄い人気で50万人近いフォロワーがいる事を紹介し、配信側の方達とファンの方達を取材する、という番組でした。

マツコさんは同い年(ちなみにキムタクも貴乃花さんもホリエモンも同い年)で、いつも勝手に親近感をもって、番組を見させて頂いています。

やはり同世代、マツコさんやリポーターさんの疑問は私と全く同じで、

「そういう事に抵抗はないの?」

「別れたらどうするのか?」

「観ている人達はどういう気持ちなのか?」

などです。

まず配信側の若者達、そういう疑問に対して「ポカン顔」・・・それに驚くマツコさんと1視聴者の私。

観ている側の若者達、「観ていたら幸せな気持ちになる」とコメント・・・「ホントに〜?!」と疑うマツコさん。肯く私。

その番組の結論としては「そういう時代なのね〜。私、もう引退を考えるわ〜。」でした。

わかる!あまりの感覚の違いにもう自分の言ってる事に自信がなくなってきて全部辞めたくなる気持ち。

もしくは、誰もが情報配信を自由に出来、見る側も選んで観たいものだけを観る時代にテレビというツール、タレントの果たす役割がよくわからないわ!という事でしょうか。

ただひとつ、救われた(!?)のは配信者側の男性が「親には言っていない」と言っていた事。

親の年齢は50歳と言っていたので、まさに私達世代には「わかってもらえないかも」とは思ってくれているのね。

「今時の若者のやる事は理解出来ない」という日が来る事はやむを得ないと思っていましたが、まさかこんなカタチが登場するとは・・・自分が若い頃はポケベルが画期的なツールだったのに・・・小学生の頃からスマホがある私の息子世代が大人になった時には一体どんな事になっているのかなあ。

私の母親世代なんて、このエッセイ自体「何言ってるかわからん」ってなるかも・・・。

いや、一周まわって、「カップルユーチューバー、ええやん!」ってなったりするんかなあ。

いやいやいやいや、それはないやろなあと、実家のある大阪に思いを馳せ、「やっぱりまだ私はSNS無理かも」と思う、古き良き昭和時代を愛するアラフィフモデルでした。