夫の芸名が本名で、珍しい名前問題(旧cakes連載記事)

夫の苗字は「生瀬」です。

「いくせ」ではなく「なませ」と読みます。

私もこの名字になって早24年になりますが、自分たちの親族以外でこの名前の方にお会いしたことがありません。

「生」と言う文字が苗字に使われている方はちらほらいらっしゃる気がしますが、これを「なま」と読むのは苗字にしては斬新と言うか何というか・・・。

結婚する時に、そうか、私は今後は「なませようこ」になるのかと覚悟した時は、そこまで抵抗は感じませんでしたが、いざなってみると、色々と旧姓「ほりもと」の時には起こらなかった問題が出てきたのです。

まず、「聞き取りにくい問題」。

お店に予約や注文の電話をする際には、私の滑舌が悪いのも相まって大体、

「長瀬さんですね。」

と言われます。

その場合、最近話題の長瀬智也さんを思い浮かべながら、

「そうです。」

と言うことにしています。

海外では、

「NAMASE」を

「MANASE」

と、聴き間違えられることが多いですがその場合もめんどくさいので、

「YES.」

と言うようにしています。

そして夫が役者をしていることにより、ありがたいことに、「生瀬といえばあの人」的な認識を持ってくださっている方も多いようで、先日、なんか気分をスッキリさせたい!と、初めて行ったヘッドスパ店でカルテに名前を書いたところ、

「珍しいお名前ですね。関西の方ですか?」

と言われたので、

「はい、出身は・・・ところでこのメニューなんですけど・・・。」

と、話をそらしました。

この人完全に夫の顔思い浮かべてるやん!と思ったからです。

今の古家を購入して約20年、息子が地元の公立小学校に6年間通ったこともあり、「ここら辺」では、うちが住んでることをご存知の方が多いようで・・・。

小学校に入学した時何かのタイミングで校長先生と話す機会があり、

「あ、僕、おうち知ってますよ。火の用心の見回りで、お宅の前を通った時、町内会の方が教えてくれました。」

と言われ、驚きました。

夫の用事で地元の銀行に行った時には、順番が来たら、

「なませ〜かつひささん〜!」

と、呼ばれ、なんか視線を感じながら慌てて窓口へ行ったり・・・。

地元郵便局では、窓口の方に

「いつもテレビで拝見しております。」

と、言われたり・・・。

小児科では順番がきたら、マイクで息子の名前がフルネームで呼ばれますが、その時も若干視線を感じるような・・・自意識過剰かしら。

夫は「人気商売」なので、ありがたく思わなければと思いつつ、息子や私は「名前でバレる」ことがちょっと恥ずかしかったり照れ臭かったりするのが正直なところであり、ついつい銀行は電車に乗って街の大きめのところへ行くようになってしまっています。

私は旧姓でモデル業をしていて、ヨガ教室は下の名前だけでやっているし、全く「素性」を知られずに過ごせることもあるのですが、息子は当たり前ですが、それしか名前がないため、クラス替えの度に「ちょっとざわつく」ことがあったかも知れません。

前にも書きましたが、息子は父親の仕事には全く興味がないタイプで、学校で

「昨日お父さんテレビ出てたね、見たよ!」と言われても

「そうなの?知らなかった。」

「えー、見てないの?」

「うん。」

という調子なので、「芸能人の子供だから自慢する→いじめられる」といった類のことは全くありませんでした。

良かった・・・。

が、「生瀬」という名前を単純に「気に入っている」ところがあり、学校の美術やら家庭科裁縫作品のモチーフにやたら「生」を使うことがあり、「なんで?」と思っていました。

まあ、他の子とはなかなか被らへんからええけど・・・。

あだ名も「生さん」とか、「なま」とかで、彼の下の名前を呼ぶのは私とママ友だけという感じ。

聞けば夫も小学校時代のあだ名は「生やん」とかで、「かっちゃん」とか「かっつん」とか「勝久」から連想されそうなあだ名を付けられたことがないらしいです。

「かっちゃん」の雰囲気は全くないけど・・・。

恐るべし、「生」のインパクト・・・。

こんな感じで「なませ」を受け入れて、過ごしてきた私達家族ですが、先日、「これは流石にどうかな。」と思う出来事がありました。

姉に紹介してもらった大阪の美味しいお菓子屋さんから、お中元を送ろうとネットで申し込みをした時のことです。

初めての申し込みですので私は名前や住所など1から入力をしていきました。

有名芸能人の方でも、お中元などは芸名とは異なる本名でご自宅から送ってくださる方もいらして、その場合は全く問題なかったのですが、お一人、その方も本名なのかどうかわわかりませんがテレビに出られている名前で、事務所から事務所へ届いたお中元をマネージャーさんからいただいたので、お返しはこちらから、と思い手配していました。

熨斗は「お中元」で送り主は私の本名「生瀬陽子」で、3軒の先様へ送っていただくよう入力を済ませて安心していたら、次の日こんなメールが届きました。

いやいやいやいや、私、一回も夫の名前、入れてませんけど・・・。

ネット検索されたかな?

でも私のモデル名は旧姓だし、なんでそんな確信をもってこのメールが書けたのでしょうか?

「陽子」なんて私世代では「クラスに一人か二人は居た」よくある名前だし、いくら苗字が珍しくても、別人かも知れんやん!怖いわ!!

と、しばらく固まってそのメールを眺めていましたが、結局、おっしゃっていることはごもっともなので

と、何事もなかったかのように返信しておきました。

が、なんか残るモヤモヤ感・・・。

「家族が芸能人で名前が珍しくてそれが本名の人」にしか共感していただけない内容かも知れませんが、これだけ個人情報問題が取り立たされる世の中で、そのお菓子屋さんには完全に住所バレてるやん!

が、この後も私は送り先の郵便番号を間違えるなどのミスを繰り返し、(確認不足すぎるやん)その都度メールで「訂正しておきました」と連絡を下さったので、結果このお菓子屋さんのご配慮には大変感謝しております。

ちなみに夫の兄の娘さん、つまり私にとっての姪っ子は学校で色々言われるのが嫌(面倒?!)で中学高校時代、「苗字は一緒だけど、役者の生瀬さんとは何の関係もない」ことにしていたそうです。お父さん(おです。義兄さん)、夫とそっくりやのに・・・。

なんか切ない・・・。

かと言って昔の芸名「槍魔栗三助」(やりまくりさんすけ)のままでも、思春期の息子がいる家庭ではかなり問題になったと思うのですが・・・。

なんかちょうどええ感じの芸名なかったんかなぁ・・・。

なぜ夫がこの更にインパクトがある芸名を本名に戻したかは、30歳の時にNHKの朝ドラに呼んでいただいたさい、「この芸名では出演させられません」と言われたからです。

ごもっともでございます。