真面目か!・・・噛み合わない母子・・・(旧cakes連載記事)

うちの家族はみんな真面目です。

夫は舞台の稽古場や仕事に毎回めっちゃ早めに到着するように家を出るし、私は日々、段取りを間違えないようにメモばっかりしています。

こんな二人のDNAを受け継いだ息子は、親からみても「真面目か!」と何度も突っ込みを入れたくなる、極め付けの真面目さです。

基本的なところでは、絶対に信号を守る。

当たり前なのですが、大阪出身(つまりイラチ気味)の私は、「もうちょっとで青に変わりそうな時」「青が点滅してるけど行けそうな時」など、「行けるやん!」と思うタイミングが息子とちょっと違うようで、彼がまだ幼稚園生の時くらいから、いつも行こうとすると「ダメだよ!」と、洋服を引っ張られていました。

勿論正しいのは彼なので、心の中では、(全然行けるやん!)と思いつつ、

「あ、ごめんごめん。」

と、ちょっと間違えちゃったわ感を出してグッとこらえていました。

これが歩行時ならこのくらいで済むのですが、車の運転中にも助手席から厳しく指導されるので大変です。

信号走行時に、青から黄色に変わってしまうことってよくありますよね。

確か教習所では、「急ブレーキになり危険な時はそのまま走行」と習ったと思うのですが、そういう時横から息子に、

「あー!ダメなのに!」とか言われます。

「あのね、車は急には停まれないから、こういう場合はそのまま進んだ方は安全なんだよ。」

といくら説明しても、幼稚園で「黄色は止まれ」と習ってきたのか、なかなか納得してくれません。

幼稚園生に車の動き方を説明するのも難しく、確かに「行く」よりも「止まる」方が安全なので、結局は

「うーん、そうだね。」

とこちらがおれる形に・・・。

まぁだんだん色々経験してわかってくるだろうと思っていましたが、中学生になった今でも、一緒に道を歩いていて、私が何も考えずに進んでいくと

「そこは自転車用の道だから。」

と、袖を引っ張られます。

誰もいなくてもきちんと守ろう

こんなこともありました。

中学生になった息子とその友達を連れて、ファミリーレストランに行った時、それぞれ注文したあと、店員さんに

「ドリンクバーは付けますか?」と聞かれ、

「はい。3人お願いします。」と私が言うと、

「では、大人1名と小学生2名ですね。」と自然な感じで言われました。

ここ流れる微妙な空気。

息子の友達は、背が低く息子もどちらかと言えば小さい方なので、まだ中学生に成り立ての頃は全然小学生に見えました。

が、こういう時、息子は

「僕は中学生です。」と、正直に言わなきゃいけないと思っているタイプ。

以前家族だけで行った際にはそれでよかったですが、今日はお友達をお預かりしていて、こういう時の判断はそれぞれのご家庭によって違うので、お互いの空気をよむ時間が流れます。

子供達が何も言わない限り、ここは大人の私が状況をみてお返事をしなければいけません。

お友達の表情を見ると、(ん?何か?)という感じ。

(これはいつもやってるな。)と判断した私は、できるだけ間をあけずに、

「はい。」

と答えました。

ちなみに大人のドリンクバーは食事とセットで180円、小学生は100円とかそんな感じだったと思います。

勿論正しくお支払いするのが当たり前なのですが、ここで私が他の家の子供に諭して、それを家に帰ってお母さんに話した時に、私とそのお母さんとの関係性がかなり気不味くなってしまうと予想されます。

と、いう訳で、レストランさん、その節はすみませんでした。

さすがの息子もこの時は空気を読んだようで黙っていて、日々、もう少し色んなことに臨機応変に対応して欲しいと思っていた私はこんな場面で我が子の成長を感じたりしてしまいました。

息子は中学受験をして、地元公立小学校から私立中学校へ進学しました。

初めての制服や電車通学など環境も変わり、新たなルールも沢山あります。

「学校の行き帰りに寄り道してはいけない」「携帯電話を学校に持って来てはいけない」など。

その中に、「学校へ持ってくるお金は1000円まで」というのがあります。

学校の購買部や自動販売機で買い物をするためです。

最初は緊張していた子供達も段々慣れてくるに従って、そうは言っても・・・という感じで少しづつ緩んできて、学校側もこの範囲は「暗黙の了解」的に対応しているような部分もあるように感じます。

が、真面目な息子は、1年経っても一切妥協を許さず、私が息子のお財布に適当に足した小銭により、学校に持っていくお金が1000円を超えてしまうと、

「ダメだから」と、静かに20円とか、返金して来ます。

(いやいやいやいや、ええやん!そのくらい。絶対ばれへんし。)と思いつつ、

「はい。」と受け取る母。

今は「プライバシーの侵害」になるとかで、学校教育法で「抜き打ち検査」というのは原則出来ないことになっているらしく、こうなるとやはり携帯電話をこっそり持ち込んでいる生徒も多いようです。

携帯電話に関しては、小学校時代はキッズ携帯をランドセルに入れていかせて下校が遅い時など、「イマドコサーチ」を便利に使っていたので、(地震とか不測の事態が起こった時用にとりあえず忍ばせて行って欲しい)と思う母ですが、

真面目な息子は絶対に置いて行きます。

こっそり底の方に入れてたら、また私が怒られます。

やれやれ。いや、正しいねんけど。

この原稿が出る頃、世の中はどのようになっているかわかりませんが、(2週分くらいストックが出来る様に書いています)昨今のコロナ騒動のなか、学校は休校になり、先生から「不要不急の外出はしないように」言われて来た息子は最初の1週間くらい、一切外出しませんでした。

私が、

「ちょっと外の空気吸って来なさい。コンビニくらい行ってもいいんだよ。」と、促しても

「ダメだよ。」の一点張り。

日に日に体力は落ち、ニートぶりが板に付いてきます。

コタツを背負って友達と通信しながらマインクラフト(至福の時)

(このままでは社会復帰出来なくなるのではないか)と心配になった私達(父母)は、これなら人との距離もあるしいいだろうと、ゴルフの打ちっ放しに連れて行きました。

平日の午前中でしたがさすが東京、同じ事を考えた色んな職種のお父さんが暇になってしまった子供達を連れてきています。

大人は1球いくらの計算ですが、ジュニア料金は2時間打ち放題で1000円というのもこの時期ありがたいです。

受付で、

「大人二人と子供1人で2打席」お願いします。

と言うと、

「あー、ではお子様のカードと大人様1名のカードで受け付けますね。」

と優しいご対応。

まずはパパと息子が打席に立ちましたが、太陽を浴びるのがあまりに久しぶりの息子は、長い入院生活明けの人のようにフラフラですぐに疲れてしまい、休憩。

そこで私が息子の打席で打とうとすると、

「ダメだよ。」

(出たー!)

でもここは夫が嗜めて、渋々納得する息子。私も

「いや、だから私は大人カード2枚出したけど、受付の方が子供のでいいって言ってくれたから〜!」

となんか必死に言い訳してるみたいなかっこ悪い感じに・・・。

(疲れるわ〜)

何日か後、三浦半島へ釣りにも連れて行きましたが、ここでも真面目さ故に、頑なに同じ場所で釣っていて、右半身(正確には出ている右手の甲と右ほっぺと右耳だけ)めっちゃ日焼けしてしまいました。

結構楽しんでいる母

運悪く次の日は学年最後の登校日。

息子のマスクからはみ出すまだ赤みが引かないほっぺと真っ赤な耳。

(いやーん!ほぼずっと家に居たのにまるですごい外遊びしてた子みたいやん!!ほっぺが熱持ってるから発熱してると思われて、校門で止められへんかなぁ)と心配しました。

本人も

「釣りとか行ってよかったの!?」と気にしていたので、

「先生になんか言われたら、お父さんに連れて行かれたって言いなさい。」と、責任回避を謀る母。

結果無事に帰宅してきたのでまあ大丈夫だったのかなと。

こんな具合に日々噛み合わない母子です。

私が一番納得いかないのは、そんなに真面目なくせに宿題だけはいつもギリギリまでやらないこと。

「僕の宿題なんだから僕のペースでやる。」とか一丁前なことを言いますが、先生、絶対早めにやりなさいって言ってるはずですよね?!

最終的にはなんとかいつも間に合ってはいるのですが・・・イラッとします。

真面目なら真面目で全てにおいて、統一していただきたい!!

(2020年3月20日くらいに書きました)