無表情バイト女子(旧cakes連載記事)

つい最近の出来事です。

友人と二人、タイ料理やさんにランチに行きました。
私は初めて行くお店でしたが、友人が人気店なのでと予約をしておいてくれました。

その日は秋の長雨・・・昼間でもコートがいるくらい寒かったのですが、予定の11時半少し前にお店に到着すると、すでに長蛇の列が出来ていました。

「凄いねー。みんなよく知ってるねー」
「予約しておいてくれてありがとう。雨の中、傘をさして外で待つのはキツいね」
などと会話しているうちに、予約の時間は過ぎていましたが、なかなかお店からの動きはありません。

仕方がないので並んでいる方に、
「これはどういう風になってますでしょうか?」
と聞いたところ、
「あ、予約してる人は先に入れるみたいですよー」と言われ、
「では、お先に行かせていただきますね、すみません」
と、列をかき分け前へ。

やっと会えた若いアルバイト女子店員さんに
名前を告げたところ、
「はい、こちらへ」
と、めちゃめちゃ空いてる席があるのに奥の方の物凄くお隣との間隔が近い席へ無表情に案内されました。

「え?予約してるのに?」
となった友人が、窓際の席を指して
「例えば、あそこはダメなんでしょうか?」
と聞くと、
「あー、ちょっと待ってください」
と、しばらく待たされ、
「あそこだと13時15分までになります」
とのこと。勿論無表情。

いや、あそこじゃなくてもあちらもこちらもゆったり出来そうなお席が空いておりますが?!と、心のなかで思いながら、また待たせられるのも嫌だし、じゅうぶんランチは食べ終えられるタイムリミットだったので、

「じゃあ、あそこでお願いします。すみません」
と言って移動しました。

注文を聞きに来たアルバイト女子店員さんも
これまた感情をどこかに置き忘れて来たかのようなタイプ。

初めてだった私は色々なものが乗っていそうなイラストが書いてある、そのお店の名前がついたランチセットにしました。

「じゃあこれで」と、そのイラストを指して、「辛いの苦手なんですけど調整していただけますか?」と注文。

「はい、出来ますよ」

「メインは二つくらい選ぶんですか?」

「はい、このなかから」

「ではこれとこれ。両方辛さ控えめでお願いします」

で、友人が

「私はこの汁麺とカレーのセットで」

と言った時、店員さんが、

「え?量が多いと思いますけど」

友人  「え?いつも食べてますけど」

店員さん「いや、先ほどのランチセットも多いので」

私   「え?私の?じゃあこのセットもシェアするくらい多いってことですか?」

店員さん「いや、それは一人分ですけど」

私   「ん?」

友人  「でも私いつも食べられますから」

店員さん「そうですか。わかりました」と、厨房方面へ。

・・・・・・。

私 「え?どういうこと?そんなに量多いの?」

友人「いやー、あんなの言われたことないよー。なんか、恥ずかしい。あんなに言われても、食べられますって、凄い大食いみたいじゃない?」

私 「いや、食べられる量ならいいよね。ちょっと途中から意味が分からなくなったよね」

で、あまり待たずに、まず私のランチセットが来ました。

「全然食べられるけど(笑)」

続けて友人の汁麺とカレーセットが。

「私も全然食べられる(笑)」

そしてランチセットがもう1セット来ました!?
私「え?何でしょうか?これは。セット2つも頼んでないですが・・・」

運んできたのは注文を取った店員さん。

「あー、だから食べられるって言ったんですね」と、また感情なく言います。

私達  「いやいやいやいや、ないない」

店員さん「じゃあ、食べられなかったら持ち帰りも出来ますけど」

私たち 「はい、食べられないから、持って帰ります」

店員さん「わかりました」

そういうと、タッパー的な容器をいくつか持って来て、謝るでもなく、また忙しい店内へ去って行きました。

セルフ?と思いながらも、テーブルいっぱいのお皿を少しでも整理しようと早速タッパー詰めを開始する主婦2人。

伸びる汁麺。冷める料理。

「私ランチセット2人前ってひと言も言ってないけど」

「ランチセットの人が多いから思い込んだんだろうね」

「これは、支払い有りかな」出た!関西気質の私。

「あるでしょ。全く悪びれる様子も無かったもんね」

「えー、どうする?強く言えば何とかなるかもだけど」

「いやー」

「だって私がここから2つですか?って聞いた時に一人一つですって言ってくれたらよかったと思わない?私が友達の分までメニュー決めるとかなくない?何となく2種類くらいかなって勝手に思ったのは私だけど」

「うーん」

臨戦態勢の私と、クレームとか言えないタイプの優しい友人。

「いやーでも、美味しいからまた来たいし、ま、いいか」

と、私もその場は収まることに。

「それにしても、麺伸びちゃったねー」

と、笑って楽しいランチタイムはあっという間に次のご予約の方が来る時間に。

お会計。
たまたまなのか、さっきの彼女がレジに居ます。

そして当然のように3人分が請求されました。

一人前2000円弱するお店なので安くはないし、これから行くところもあるのにタッパーに詰めた盛り盛りのおかずを持ち歩かなくてはならなくなった私達。

忙し過ぎて、日々流れ作業になってしまっているのはわかる。

味が美味しいから少しくらいクールな接客をしてもお客さんは毎日たくさん来るし、東京の人は少しの事であまり騒がないから、大体の事は許されるのでしょう。

でもあーたねー!(デビ夫人風)
サービス業なんだから、もう少し接客態度、考え直したほうよろしいんじゃござーませんか?

こちらも確認不足だったかも知れないけど、とりあえず、明らかにお客様の意図してない結果になってるんだから、まず「すみません」でしょ!

お席にしたって、わざわざ予約している人より、たまたまその順番に入った人が良席になるのはおかしいんじゃござーません?

ちょっと頭使えばこちらはこちら、あちらはあちらって振り分けられるでしょ!

その前に雨の日なんだからとりあえず入れる人数だけでも屋根の下に誘導も出来たと思うわよ!

そのくらいのことはアルバイト店員にだって権限あると思うわよ!

ディズニーランドのキャストさん達の神対応、見習われたらいかがかしら!

大体ねー、お店が流行っているのは厨房で働くタイ人シェフの腕と、店長さんのセンスがあるからであって、あーたはなーんにも偉くないのよ!

ふー、こんな風に思ってしまうことが「おばちゃん」なのでしょうか?

よくその場で言わずに耐えたな、私。

※写真はあくまでイメージ写真ですのでエッセイに出て来るお店とは一切関係ありません

この出来事で思い出した件があります。
主人も若い店員さんの対応で同じような目に合ったことがありました。

有名な珈琲店にモーニングを一人で食べに行った時の事です。

主人はまず目に止まった「ホットドッグ」を注文しました。

で、その後、それにはコーヒーが付いてない事に気付き、先程注文を取ってくれた若い女子アルバイト店員さんを再度呼び、

「すみません、このホットドッグにはコーヒーがついてないようなので、

こっちのコーヒー付きの玉子トーストのモーニングをお願いします」

と、注文しました。

すると、しばらくして、

ホットドッグと、コーヒーと、玉子トーストが来たそうです。
そして、前述の私達のように、

「いやいやいやいや、ないない」となり、

「こんなに食べられないんですけど」と言うと、

「ホットドッグ、キャンセルされてませんから」と言われたそうです。

勿論無表情。

こんなに食えるか!考えたら分かるやろ!と思ったそうですが、一人だったため黙々とトーストとコーヒーを食し、モヤモヤしながらレジへ。

すると同じ女子がレジに居て、普通に請求されたので、こちらも関西気質な夫、支払いをしても尚、気持ちが収まらず、

「君は、同じような事になっても普通に支払うの?」

と聞いたそうです。すると、

「はい、ホットドッグ、キャンセルしてませんので」

と、言われたそうです。

アンドロイドか!

人気のあるファストファッションのお店でも(特に外資系)、こんなアンドロイド系店員さんがよく居ます。

返品、交換対応など、お願いしたらまるで全面的にこちらに非があるかのようにクールな対応をされます。

そしてなんか「すみません」とすぐに謝ってしまうお客さん達。

なぜ、考えない?
なぜお客様の気持ちになれない?

そんなつまらそうに、なぜ、その仕事を続けているのですか?

流行っているお店で働きたいから?

聞こえが良いから?

クールなのがかっこいいとでも思ってるん?

(興奮してくると関西弁になる私)

東京の子か?

どっかから上京してきて、そんなんが都会っぽいとでも勘違いしてるんか?

客商売を何やと思ってんの?

払わへんて言うてるんやないねん、もうちょっと言い方ない?

自分の立場のなかでいくらでも出来る事や、役割はあるはずやで!と、老婆心ながら助言したくなる、かつての商売人の町「天下の台所」出身の私です。