皆さん、道を歩いていて声を掛けられること、ありますよね。
一番多いのが広告入りのティッシュを配る人からでしょうか。
これに関しては、「大阪の人は受け取る確率がかなり高いけど、東京の人はほとんど受け取らない」というデータがあります。
単純に大阪の人は、
「え、ティッシュ使えるやん。なんで受け取らへんの?」
という持論があるのに対し、東京の人は、
「ティッシュについてくる広告がいらない。受け取るのがめんどくさい」
と思うのでしょうか?
大阪出身で東京在住歴が長くなっている私は、上京して間もない頃は普通に受け取っていたけど、最近は受け取らないことの方が多いです。
何でしょう、確かに荷物で両手が塞がっている時など、わざわざ片手を開けてまで受け取りに行くのがめんどくさいというのはありますが、やはり小市民、みんなが貰っていない流れに従っている感はあります。
ということは、ティッシュ配りのアルバイトは、東京でやるより大阪でやる方が遥かに楽なのではないかしらとぼんやり思ったりします。
このようにもう「東京の方が長いんで」という雰囲気を醸し出しているつもりの私ですが、ドラッグストアなどで化粧品のサンプルなんかを配っていたら、若干「貰いに行く」感はあります。まだまだ抜けない、大阪魂。
あとは「声を掛けられる」と言えば、「スカウト」でしょうか。
私は上京した時には既に所属事務所が決まっていたので、積極的に「スカウト目当てで原宿を歩く」なんてことはしませんでしたが、それでもバブルの名残もあり、「渋谷で石を投げたらモデルに当たる」時代でしたので、モデル事務所や芸能事務所の方から名刺をいただいたことは数回あります。
が、「もう所属していますので。」というと大抵の事務所は「あ、そうですか。」とあっさり引き下がっていきました。
もう一押しあればお話を聞いてみても良いのにな、と浮気心がくすぐったこともありましたが、そこはもう、びっくりするくらいあっさり、引き下がられました。
事務所間の暗黙のルールなのか、私の魅力がそこまでなかったのか(多分そう)はわかりませんが・・・。
当時はネット検索などなく、東京に知り合いの少ない私は「事務所事情」に疎かったのでそれらのなかにどんな素晴らしい事務所や怪しい事務所が混ざっているかも判断出来ず、基本スルーするしか選択肢がありませんでした。
そしてそのまま現事務所に所属し続けて29年になります。長!びっくりするわ!大変お世話になっております。
むしろしつこかったのは「夜のお仕事」のスカウトさん達。
渋谷のスクランブル交差点で「銀座のクラブです」という人から「時給5000円!」と言いながら追いかけられたこともあります。怖かったし。
怖かったけど、(時給5000円はほんまかなぁ。すごいなぁ。暇な時とかちょっとやりたいかも)と銀座で夜会巻きをしている自分を想像して半笑いになりながら逃げたのを覚えています。
後は「アンケート」と称した宗教?なのか思想なのかわからないですが、そういった類いの人に声を掛けられ、うっかりちょっとお話を聞いてしまったが最後、最終的にはベンチみたいなところに座らされ、手をかざされた経験もあります。(最近見ないですね)
「ナンパ」されることはほぼなかったですが、(何故でしょうか、不思議(笑))思い出したエピソードがあります。
小学6年生の頃、母からのお使い帰りに一人で電車に乗っていたら、サラリーマン風のお兄さんに、
「お茶でもいかがですか?」と声を掛けられたことがありました。
私は小6で既に身長が164㎝あり、なぜか髪型は当時流行りのワンレンスタイルだったため、ちょっと大人っぽかったんだと思いますが、中身はただの小学生なので、(うわ、知らない人に声を掛けられている。絶対ついていったらあかんやつや!怖いよー。)としか思いませんでした。
ひたすら俯いて首を振り、ドアの隅っこの棒にしがみつく私を見て、その人は、挙動不審人物と感じたようで、すぐに諦めてくれました。
まさか「小学生が大人に声を掛けられて誘拐されると思い、ビビってる」とは夢にも思わなかったでしょう。
今思えばあれが私の人生初の「ナンパ」体験だったということになります。
「ナンパ」と言えば、先日同い年の友人と話していた時、かなり面白いエピソードを聞きました。
Mさんとランチ。渋谷の街を見下ろして。
この友人Mさんは以前「電車でブスと言われた人物(ブスじゃないのに)」としてもこのエッセイに登場した事がありますが、今回は更にグレードアップした話を持ってきてくれました。(ご興味あれば、「他人の何気ないひと言・・・」をご参照ください。)
私がハマっているマグマヨガにも通うMさんは、その日もヨガ帰りでお肌もツルツルになり、気分良く渋谷でウィンドウショッピングを楽しんでいたところ、30代、ちょいイケメン、程よい筋肉質(Mさん曰く)でおしゃれな男性に声を掛けられました。
「すみません、お姉さん。僕携帯の充電が切れてちょっと困っていて、助けていただけませんか?」と。
事情を聞くと、友達が元町の方から渋谷に向かっているんだけど、今から電車に乗るという連絡をもらったところで充電が切れて、元町から渋谷までどのくらい時間がかかるのか携帯で調べられなくなったと。
横浜に住んでいた事もあるMさん。
「あー30分くらいじゃないかな。」と親切に教えてあげました。
するとその30代細マッチョが、
「あーそうですか。ありがとうございます。そうかー。30分かぁ、割と時間あるなぁ。お姉さん、よかったらそこら辺でちょっとお茶でもいかがですか?」と言ってきました。
そこで普通は(?)丁重にお断りするかと思うのですがここで、
「あー30分くらいならいいよー。」と軽く受けてしまったフレンドリーなMさん。
このフレンドリーさが様々な不幸(面白エピソード)を呼ぶ一因であることは間違いないのですが、彼女は現在バツイチ独身一人暮らしの自由な大人の女性、責めることは出来ません。
でもここからどんどんおかしな展開になっていきます。
「え、いいんんですか?そしたらカラオケにしましょうよ!」と言われ、
「え、お茶じゃないの?友達来るのにそんな時間ないでしょ?」
「大丈夫ですよー。お姉さん、可愛いから、俺の歌聞かせたくなってー。」
「いやだよ。お茶ならいいけど、いきなりカラオケBOXで二人っきりとかありえないし。」
「えーいいじゃん!行こうよー。」
「いや、私もそんなに時間ないし。」
「そんな〜、たいした用事じゃないでしょう!」
「失礼ね!帰ります。」
「帰さないよ。」
と、この会話は渋谷のスクランブル交差点を歩きながら進んでいたのですが、元々気が強い彼女、我慢の限界を超え、
「あんまりしつこいと、警察連れて行くよ!」とハチ公横の交番を指差しながら言いました。
すると、その男の態度が豹変し、大きい声で
「クソババア!」
と捨て台詞を残して去って行ったそうです。
(えーーーーー!!)
スクランブル交差点に取り残されたMさん。
周りでクスクス笑うJKの声。
もーーーー、何されてんの?!かわいそすぎるやん!
でも、ちょっと面白い・・・。
スクランブル交差点の真ん中でその台詞は・・・。
本人も「ブス<クソババア」だよねと、笑いながら話してくれました。
私も、
「すごいなぁ。何でそんなことになるん?なかなかない経験やで、これは・・・。」
と聞いていました。
そして検証が始まりました。
その男は一体何が目的だったのか?
「ナンパ」なのか「怪しいスカウト」なのか、はたまた「ドラッグの売人」だったのではないか、カラオケBOXまでついて行くと、一体どういうことになったのか。
もしも今度奇跡的に会うことが出来たら確認だけさせて欲しいと、好奇心が湧いてきます。
しかし47歳になっても渋谷の「声掛け」でこんな目に合うなんて、恐ろしい世の中ですね。
Mさんはこの連載の読者でもあり、せめて「「ネタ」にされることで報われる」と言ってくれたので、遠慮なく書かせていただきました。
皆さん、笑ってあげる事が、御供養になりますので、よろしくお願いします(死んでないけど)。